メタルフローティング
セミリジットエンジンマウント(仮名) テクニカルデータ

この度当社で開発したエンジンマウントは
ドラッグレースに於いて、エンジン出力の大幅な向上によるエンジンマウントの負けにより
シフトレバーの振れなどが原因で発生するシフトミスを防止する目的で開発されました。

 エンジンのトルク変動によるシフトミス対策に関しては
以前からマウントをリジット化することで対応する場合もありましたが
完全にリジットマウントしてしまうと、ボディのネジレまでエンジン&ミッションにに伝わり
逃げがないため トラブルの原因になると懸念されていました。

 エンジンの揺れ対策に、エンジンのマウント以外の部分とボディを
ロッド等でつないでしまう方法もありますが、
つながれるエンジン&ボディ側のストレスを考えると
やはり エンジントルクはマウントからメンバーへ伝えるのが最良だと考えます。

 本製品の構造は、リジット同様の伝達効率と
ボディのネジレ等のストレスをエンジンに伝えないようにするために、
圧側は金属の球面軸受けでトルクを受けて、引き側は圧縮されたゴムブッシュで受けるという
非常に効率の高いマウント構造となりました。
圧縮されたゴムは 数百sの力で圧縮されており、
さらにマウントにはエンジンの重量が乗るため
ゴムが負けて引き側にガタは出ない構造になっています。
そのため 発進時等においてもエンジンマウントのガタつきによる振動は発生しません。

 基本的に純正マウントと同じ取り付け関係で製作されいていますが
上下軸の位相方向にある程度の可動代があり、
圧側は球面で受けているため
エンジンはメンバー上でフローティングしている状態を維持できて
ボディ側からまったくストレスを受けることなく、純粋に駆動力を伝達することが出来ます。
また、受け側が球面軸受けであるため エンジンは前後揺動方向に動くので
ミッションを脱着する際 マウントを取り外したり緩めたりする必要はなく
スムーズにエンジンを傾けることが出来ます。

 このエンジンマウントは
当社では大パワーのドラッグマシンに対して開発しましたが、
サーキット走行に対して非常に効率の高いことが明らかであり、
アクセルオンオフ、エンジントルク変動の大きなサーキット走行では
より大きな体感効果が得られ、非常にダイレクト感のある駆動伝達が得られます。

 また、構造的に 機械加工で比較的簡単に寸法変更が出来るため
マウント全長を短縮することでエンジン搭載位置を10o程度下げることが出来ます。
ショート加工に関しては直接当社にご相談ください。
車種によって短縮可能寸法が異なります。

 本製品に使われている球面軸受けは
スラスト方向 動的許容加重約6000s 静的許容加重35000sまで対応しており、
エンジン重量及び出力には余裕を持って対応しています。
本製品の主要構造は、アルミ素材の中では最高強度である超ジュラルミンA7075からの
機械加工による削り出しで製作されています。

 エンジンマウント構造でのテストは依然続行中ですが
13Bロータリーにおいて、馬力750psトルク70sは問題なくクリアしており、
通常のチューニングレベルであれば問題ないと判断しての発売開始です。

'01年度ドラッグレースに於いて、当社ではワークスマシンのFC3S、FD3Sにテスト使用した結果
発進時のエンジン揺れが激減するためジャダーの発生が無く、
シフトレバー位置が安定するため ドライバーの精神的安心感が高まることから
シフトチェンジの安定性及び操作速度が大幅に向上し、タイムの安定に貢献しています。

本製品は改良のため予告無く仕様変更する場合があります
本製品は十分な強度を有していますが取り扱いは完全競技用部品です
本製品の構造は実用新案出願中です。
FD3S用ASSY
これは組み立て状態。
車種によって左右が
別仕様になることもあります。
 基本的に上下面の寸法は
ノーマル新品と
同じで製作されています。
上下ボルトの位置関係
位置決めピンも純正同様位置。
 ただし、構造上
回転方向は固定が効かないため
オフセットが必要側に
ピンを配置しています。
そのため車種によって構造上下方向が
異なる場合があります
組み立て後
上下ボルト位相方向は 回転方向及び
各方向に2.5oずつ移動できます。
このため、車輌個体差による誤差等を
吸収することが出来ます
本製品に使われている球面軸受け。
2分割で、材質は高炭素クロム軸受鋼
スラスト加重専用で動的許容加重は約6000s
左の部品が受け側になり、グリス溝が切られている
組み立て時にグリスを封入することで
長期間無給油で使用可能になっています。
同じくFD3S用の内部構造。
左から 本体、球面軸受けユニット、伸び側押さえ用ゴム、本体蓋、スペーサープレート。
スペーサープレートの厚さは5o エンジン位置変更のためこれを外して使うことも可能。
本体と球面軸受けユニットに高負荷対応グリスを封入して組み立てられます。
伸び側押さえ用ゴムは この写真ではウレタンですが
ウレタンは圧縮永久ひずみが大きいので 販売される商品は対策品に変更されます。
FC3S用取り付け状態
これはドラッグ仕様の岡本号でテストしている状態。
ミッション脱着の際 球面軸受けが揺動方向、
回転方向に滑るため
エンジンはノーマルマウントよりもスムーズに傾きます。
取り付けは
単純に純正のゴムマウントとの交換になります。
当然エンジンを降ろしたりすることなく
比較的簡単に交換できます。
これはFD3S用
FDもアームからノーマルのゴムマウントを取り外して
本製品と交換する方法で取り付けます。
また、FCとFDでは寸法も異なりますが
構造の取り付け上下方向も逆になります。
本構造は圧縮方向で加重を受ける条件であれば
取り付け上下方向が異なっても
同等の性能が得られます