NSX用 メタル触媒テスト

こんにちは!

今日は以前から計画していたNSX用メタル触媒の進行状況をお知らせします。

だいぶ前から作りたいと思っていたNSX用メタル触媒製作がやっと先が見えてきました。

中古車でNSXを買ったところ触媒が付いていなかった・・とか
排気系チューンの一環として抜けの良い触媒が欲しい・・
という事例が増えてきて何年も前からいつかはオリジナルで触媒を作ってみたい・・

と思っていたんだけど、メタル触媒のセルを作っているメーカーは国内には事実上数社しか無くて
ほとんどが純正部品を作っているメーカーだからアフター向けの少量需要に対して対応が良くは無いわけでセルの入手性とコストで断念していました。

ところが今年になって輸入物で性能が良くて現実的なコストで入手できるセルが手に入ることに
なってこれを使えばNSX用触媒が作れるか・・と計画を再起動した次第です

このメタル触媒がどこの国の何なのか私も知らないんですが、おそらくはどこかの自動車メーカーの純正品だと思います。

この触媒は1個で2リッター以上のクラスに使う性能らしく、NSXでは前後バンクで2個使う
わけだから片バンク1500ccに1個ずつ使うなら排気ガス浄化性能も排気抵抗の点でも問題ない
だろうからあとはセルを組み立ててNSX用にするケーシング部分を上手く作れば高性能な触媒が
作れるはず・・
と考えて見た目も性能もか~なり拘って構成部品を作りました。

フランジはステンレスの板からレーザーで切り出して外筒は2ミリ厚のステンレスパイプで作ってセルを圧入、どんなエキマニやマフラーともマッチしつつ十分な抜けの良さを得るため配管口径は入り口出口もΦ50。

ちょっと困ったのはパイプ径のΦ50から外形のΦ100までを繋ぐ拡張部分で、排気抵抗低減と剛性を得るため2ミリのステンレス板をヘラ絞りで絞って作って限られたスペースで抜けの効率を良くするようテーパーは60度にしました。

このくらいの拡張角度だと取り付けボルトを入れたりするスペースが余裕なので脱着の作業性も非常に良くなります。
KSP製である証明に「保安基準適合・E-NA1」とエンブレム作って溶接貼り付け。。

残る問題はこの触媒がE-NA1の排気ガス規定に適合しているか
公的検査機関で検査してもらわないとならない。

すでに、「保安基準適合」とかエンブレムまで作っちゃったので今さら検査で落ちたらガッカリだから
出来るだけコンディションの良いノーマルの初期型NA1をお客さんから借りて整備の手を入れて検査所へ行ってきました。

純正以外の触媒を取り付けて車検を通すには10モード、15モードの排気ガス検査を行った書類通称「ガスレポート」が必要になります。

これは財団法人日本自動車輸送技術協会(JATA)と言うところで行っていてラッキーなことにKSPから15分くらいのところにあるんですねぇ。

15年くらい前KSPではJASMAに加入せずに車検対応マフラーを作っていて私はこの検査のためにJATAにはよく通っていました。

今回触媒の検査のために久しぶりに訪ねてみたところ当時のスタッフの方は何人もそのままいて
「豊泉さん久しぶり!」と十数年ぶりの再会になっていました。

排気ガスの検査は大きなダイナモ室の中にクルマを入れてローラーに車重などの条件を加味した
負荷をかけて指定速度までの加速減速や高速一定走行など決められた走行条件に従って走らせる
ものでその走行条件というのが10&15モードと言われる条件なんですね。

よく言われる10モード燃費と言うのはこの走行条件における燃費と言うわけで今回は10&15モード走行における排気ガスの検査ということになります

検査中のマフラーから出る排気ガスは全て検査装置に回収して排気ガスの成分を分析し
テスト走行中のトータルの有害成分が基準値以下であれば合格ということになります。

検査中の様子を眺めたり検査室の中で計器を眺めたりこれはけっこう興味が尽きない。。

結果予想通り浄化性能はかなり優秀で最終結果を見る前にOKですね。おめでとうございます。
今日はこれで終了です 合格の書類が出来たら連絡します。
とのことで無事にパスしました。

今回の車輌はMT車だったけどKSPで販売するメタル触媒はAT、MT両対応にしたいからあらためてAT車に取り付けて検査する予定です。

陸自での車検ではAT車にMT書類で黙認される事もあるけれど、今後 社外触媒に関しては扱いが厳しくなるそうです

ATとMTで車重も変速比も違うわけだから検査における条件も変わるのでMTでの検査書類はATでは無効になるかもしれません。

ちなみに
排気ガス検査はAT車の方が有利だと思いますね。
心電図みたいなグラフを描く排気ガス検査のデータを見ているとMT車ではシフトチェンジして加速する瞬間に一酸化炭素や炭化水素の数値が明らかに上昇するからダイナモ上で運転する検査官のクセに左右されずアクセル開度一定で加速できるAT車の方が検査の際に有利じゃないかな・・と思いました。

まあ、KSP触媒はC30Aに対して十分な浄化性能だと分かったからAT車での検査はだいぶ気楽だけどこの検査けっこう費用が高いんですよね。。

触媒を販売する上で最も重要な浄化性能とガスレポートはOKとなったけどまだ抜けの良さと
性能向上がどの程度なのかデータ取りしていないので一連の検査後TYIZ号にも取り付けて
パワーチェックしながら純正触媒、ストレートパイプ、メタル触媒でそれぞれどんな結果になるか検証します。

排気の通路面積と容量を考えればストレートパイプ並みの性能が出ると思うけど排気音の変化とか
気になるポイントを確認しておこうと思います。

いつかは作ろうと思っていたNSX用触媒やっと完成の目処が立ちました。

以上です