NSX パワーステアリングギアボックスOH

NSXのパワーステアリングは電動アシストタイプ。
経年老化に伴いアシスト機構にガタが大きくなって操舵に違和感を生じる事例が増えています。

しかし、このギアボックスは非分解ユニットであり、 整備のための消耗部品や構成部品もメーカーから供給されていないためトラブルが起きた場合 Assy交換しかないのが現状でトラブル発生の際には高価なギアボックスの購入を迫られていました。

KSPではMT車にパワステを後付けする事も多く、パワステが標準搭載されたAT車の作業依頼も多いためこの整備の確立も重要と考えて早期からギアボックスの構造理解と修繕を模索していました。

現在では 独自の修理方法確立と消耗部品の流用などで通常消耗レベルであればガタの改善が可能になっています。

独自構造のギアボックスを的確に分解整備するため上のような動作検証治具を作って整備しています。

 

オーバーホール内容

経年老化が激しい老化したグリスを全て除去して洗浄する。

ここで使われているグリスは一般のリチウム系MPと違っていて透明感がある寒天の様なグリスが充填されている。

ただし、経年変化で真っ黒で金属が溶け込んでいる古いグリスを最新のグリスに充填しなおします。

ガタが出ているブッシュは取り外し交換。

KSPオリジナルで製作した電極部分のパーツ

この部分は破損してるケースが多いです。ここは非常に重要な電極部分なのでオリジナル部品を使って補修をしています。
以前は自己融着テープなどで絶縁をしていましたが、現在はより完璧な状態で納品が可能になってます。

操舵の際にキュルキュル音が出たりパワー系統のエラーが出る場合ブラシと接触しているモーターのコミュテーターが焼けている場合が多く接触の電気抵抗増大が原因。
ローターを旋盤で回転させながら紙ヤスリでコミュテーターを修正
表面状態が著しく悪ければ表面を切削して修正。
ほとんどの事例でブラシの消耗は軽微だけど 著しければ交換。
再利用する場合でも接触部を修正してやることで 異音は消えてくれる。
コンピュータを繋いで通電しパワーアシスト状態でステアリング操作しながら2軸のバックラッシュを調整する。
これを上手く行わないとギア鳴りやガタが残る事になる。
 

現在ガタの最も大きな原因であるブッシュ部分に関してはほぼ完治しますが、ラックシャフトが極端に摩耗してしまった場合には対処不能となる場合もあります。

※パワステオーバーホール作業はユニットのみ送って頂いても作業が可能です。ご希望の方は発送前にご連絡を頂ければ、専用の依頼用紙をご案内させて頂きます。